奥行きのあるモノが好きだ。
モノの奥行きが好きだと言ってもよいかもしれない。
本人が、あんまり奥行きのある人間ではないからかもしれないが、
ひと、ことがら、表現、モノの裏側にあるみえない根っこの部分に、
濃密なイメージのつみ重なりや、たしかな世界観の存在を感じると、
憧れと好奇心のいりまじったような興奮を覚える。
「フォスフォレッセンス」
太宰治の眠る三鷹禅林寺のほど近く、ある古本屋がたたずんでいる。
このお店に、先日フリーペーパー"gris-gris"を置かせていただいた。
「Phosphorescence」
フォスフォレッセンスというのは、トップページにもあるように、
太宰治の短編のタイトルからいただきました。覚えにくい名前で
お客様には、不便で申し訳ないのですが、この作品が大好きで、
この読後感のような気分を、お店を出た後に味わってもらえるように
なることが、目標なのです。
自己満足かもしれませんがどうかこの「フォスフォレッセンス」と、
末永くおつきあいください。
この小さなお店が「街の灯」となれますように・・・
(ホームページより)
「フォスフォレッセンス」
太宰治の短編のタイトル。
短編のなかで重要な役割を果たす花の名前。
うーん。出来すぎ。出来すぎによく出来た語感。
その花が現実に存在するのかどうかは結局のところどうでもいい。
現実に存在し、そしてきっとすばらしく美しいだろう、と
想像させる奥行きたっぷりの語感が、僕をにやにやさせるのだ。
その古本屋の本棚からは、本に対する愛情があふれていて
なおまして、オーナーのきっと人生そのものがあふれ出ていて
「フォスフォレッセンス」という覚えにくい名前の通り、
わずか5.5坪の店内から、どこまでも奥行きが広がっていた。
……
今夜も冷える。本でも読もうかな。
(04'01/29 川島イタル)
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